Futures&Options

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- 日次値幅制限
取引所は、しばしば、1日の取引時間帯に先物および先物オプション価格が変動すること ができる範囲に制限を設ける。このような制限は、前日の清算価格に比べた上下ポイント数 で表される。買い手と売り手が価格に関して合意することを想定し、その制限価格では売買 できるが、値幅制限を超えた場合は売買できない。値幅制限により、市場参加者は市場に参 入することについての新たな情報を評価したり適応したりする時間的猶予を与えられ、清算 機関(クリアリングハウス)は状況の変化がもたらす財務上の影響を評価する機会を与えら れる。値幅制限は取引所が変更することが可能であり多くの先物や関連オプション契約は、 現在、値幅制限なしで取引される。IFM(Institute for Financial Markets)が出版する『The Futures & Options Factbook』は、世界中で取引される先物およびオプションに値幅制限が あれば、記載されている。 先物またはオプションの価格が値幅制限に到達する場合、取引はしばしばひどく遅くなり、 その値幅制限またはその値幅制限内で取引しようとする買い手と売り手の意思によっては、 まったく停止する可能性がある。これは、その市場で取引する人々に特別なリスクをもたら しうる。たとえば、価格が「下に下がって制限価格で固定する」または「制限価格でオ ファーする」場合、売り手はいるが、このような低い価格帯の制限価格での買い手はいない。 その結果、市場で買建玉を有し、売りたいトレーダーは売ることができない。さらに、時と して価格は、買い手と売り手が価格に関して合意する水準に到達するまで数日連続して制限 価格まで下がるか、上がるかする。これは、損失を生じさせているポジション(破滅的に費 用がかかる可能性がある状況)を迅速に反対売買することを困難にするか、または不可能に さえするかもしれない。 部分的には、この事象の異常だが高費用となる可能性を認識して、多くの取引所は、先物 およびオプションに値幅制限を設ける方法を修正した。1つの例は、値幅制限の拡大である。 そして、初めに値幅制限まで動いた後の日々における価格変動可能な幅を広げることである。 たとえば、日次値幅制限は、限度まで動いた日の後は 150 パーセントに拡大することがで き、 (第)3日目または(第)4日目にこの措置を解除することができる。値幅制限はボラ ティリティが弱まるとき、通常に戻る。 期日を迎えるまたは期近の先物およびオプション、いわゆる「当限月」契約に関しては、 制限を設けない取引所もある。これは、先物またはオプション契約がきわめて重大な受渡期 間中、日次値幅制限による束縛から開放されている現物市場との経済的な価値の関係を維持 62
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