Futures&Options

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- 第3章 会計、証拠およびレバレッジ
しなければならないことは、一定の期間(通常は1日)に生ずる可能性がある市場における 最大変動を設定し、保有している契約数で調整することである。 このようなリスク評価は、オプションや多くの市場におけるポジションを含むポートフォ リオについては、はるかに難しい。オプションのリスクにおける重要な事実は、オプション のプレミアムまたは価格が、原資産である先物価格の変動と足並みをそろえて動かないとい うことである。売建玉オプションポジションは、原資産の価格がポジションに不利に変動す ると、ますます危険を伴いうる。そのうえ、オプションと先物とのある組合せはネットのリ スクを増加させるが、他の組合せはネットのリスクを減少させる。物事をさらに複雑にする のは、オプションの価格が原資産である先物価格の関数であるだけではなく、原資産である 先物価格のボラティリティおよびオプションの行使期限までの残存期間のような、他のファ クターの関数でもあるということである。 オプションを含むポートフォリオのリスクが、多くのファクターに左右され複雑に変化し うるという事実を反映した、委託証拠金へのアプローチが生まれた。現在、このアプローチ には、異なった取引所によって採用されているいくつかのバリエーションがある。多くの取 引所は、ポートフォリオを基準にしてリスクを決定する、SPAN(リスクの標準的ポート フォリオ分析を意味する、シカゴ・マーカンタイル取引所の登録商標)に似た証拠金賦課シ ステムを用いている。このアプローチは、さまざまなシナリオのもとでの顧客口座の価値の 写真またはスナップショットを撮り、そのシナリオのもとでポートフォリオの価値に何が起 きているか、その概要に基づいて、口座またはポートフォリオのリスクを決定する。ポート フォリオの委託証拠金を決定するこのようなシステムは、ネット清算価値とリスクという2 つの要素がある。
SPAN の委託証拠金に関するネット清算価値の構成要素
本章ですでに述べたように、先物ポートフォリオにおける正味財産はその所有者にとって のその価値を表している。つまり、それは口座にある金銭(現金または計算上の損益額)お よび未決済先物ポジションに係る未実現損益(計算上の損益額)である。先物について口座 価値をこの方法で算定することは適切であるが、このようなアプローチは単体でも、先物と 結合していても、オプションのポジションの価値を十分には反映していない。オプションの 買いは、買い時点で口座のキャッシュ・バランスを減少させ、オプションの売り手は売り時 点で現金の増加を享受する(先物は、開始時ではなく、ポジションの相殺時に現金の増減を 生ずることに留意すること。 ) 。 オプションを含む口座についての追加的な処置は、買建玉オプションの価値を売建玉オプ 53
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