Futures&Options

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- 第3章 会計、証拠およびレバレッジ
低割合の頭金を含み、株式の残りのコストは借入れによってカバーされ、残高に対して利息 が支払われる。これに対して、先物証拠金は契約額の頭金ではなく、 「取引証拠金」または 証拠金(earnest money)である;これと整合的に、先物の顧客は、契約額の残高に対して 利子を払うことは求められない。先物市場においては、原資産であるコモディティまたは商 品の現実の受渡しがあったときに限り、契約額の全額が支払われる。 先物のトレーダーは、契約を締結するときに、その契約後の履行を確保するために証拠金 を預託する。先物契約を値洗いする過程は、日々、契約から生ずる利益および損失が支払わ れることを確実にする。決済で利益が生じれば、この利益は顧客に支払われることがある。 決済で損失が生じれば、顧客は、その損失の全責任を負う。損失が預託している証拠金額よ りも大きいときには、顧客は差額を埋めること、そして、未決済のポジションについて要求 されている証拠金を回復することが求められる。証拠金の預託は、つまり、買い手、売り手 および口座管理営業員にとって、日々適切な決済がなされるよう、個々の顧客口座に十分な 資金があるようにするための安全策である。その後、契約が相殺されたときに顧客と実現損 益として決済されるのは買付価格と売付価格との差額である。 証券先物取引(security futures)を除き、FCM の顧客に適用される最低証拠金率は、先 物およびオプション契約ごとに、その契約が取引される取引所の清算機関委員会によって定 められる。証券先物については、 (当初証拠金も維持証拠金も)最低顧客証拠金は制定法な らびに証券取引委員会および商品先物取引委員会の規則によって定められる。証券先物取引 以外の契約に対して要求される顧客当初証拠金の額は、取引所によっていつでも変更されう る。このような証拠金の水準の調整は、通常、価格のボラティリティの変化を反映している。 当初証拠金率は0という低率になることもあれば(たとえば、特定のスプレッド・ポジ ションの場合) 、契約額全額と同じくらい高くなることもある(たとえば、契約の緊急清算 が行われている間) 。しかし、1契約当りの当初証拠金は 1,000 ドルから 3,000 ドルである ことが一般的である。先物契約の価値総額はその当初証拠金の水準に影響を与えるが、価格 のボラティリティがこれらの要求水準を定める際の最も重要なファクターである。 証券先物取引における連邦最低証拠金は契約額に対する割合として定められるのに対し、 先物取引所は、前述した例のように、証拠金必要額を1契約当りドルで定める。このシステ ムによって先物の顧客が利用可能となるレバレッジを示すために、すべての先物契約につい て求められている証拠金の預託と取引されている契約額を比較して検討することはためにな る。図表3. 5には、先物証拠金のレバレッジ効果を示す一連の計算が含まれている。
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