Futures&Options

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- 第2章 先物取引関連機関および専門業者
当初証拠金および変動証拠金
すべての清算機関は、清算のために提出された未決済建玉の裏付けとして、清算会員業者 に当初証拠金と言われる資金を当該清算機関に預託させる。1契約に必要な証拠金額は、清 算機関役員会により決定される。米国の先物および関連オプション市場を規制する連邦機関 の商品先物取引委員会は、会員業者の自己資金から顧客資金を分別することを求めているの で注意が必要である。この資金分別を維持するため、顧客口座をもつ各清算会員は当該清算 機関に、1つは顧客資金用、もう1つは自己資金用に2種類の証拠金口座を開設しなければ ならない。 証拠金の水準は、通常、先物価格のヒストリカル・ボラティリティを反映し、ある特定の 市場での1日の(統計的に)大きな価格変動から当該清算機関を保護するように設定しなけ ればならない。当限月建玉、すなわち、受け渡されるまたはそれに近い建玉、および後の章 で説明するヘッジ、またはスプレッド・ポジションには、異なる証拠金率が適用されること がある。 受け入れ可能な当初証拠金の種類は、清算機関によって異なる。一般的に清算会員証拠金 は、現金、信用状、政府証券または登録証券である。ドル以外の通貨建ての先物契約(たと えば、外国の株価指数に関する先物契約などの外国通貨建てで価格決定される商品)では、 外国通貨建ての当初証拠金および変動証拠金での支払いが必要なことがある。清算会員への 顧客証拠金の預託は、倉庫受取証などの他の流通証券も含まれる場合もある。 清算機関は、グロスの顧客建玉基準またはネットの顧客建玉基準のいずれかを用いて証拠 金を徴収することができる。シカゴ・マーカンタイル取引所およびニューヨーク・マーカン タイル取引所は、各売り建玉および各買い建玉について清算会員からグロスの当初証拠金を 徴求する。 現在、その他の清算機関のほとんどは、清算会員業者が先物契約の特定の受渡月の顧客の 未決済の買建玉と売建玉をネットし、当該ネットされた建玉を裏付けるために必要な証拠金 だけを当該清算機関に預託することを認めている。たとえば、清算会員の顧客が5月限小麦 合計 500 枚を買い建て、5月限小麦合計 400 枚を売り建てた場合、ネット基準で顧客証拠 金を徴収する清算機関は、そのネットである 100 枚の買建てに証拠金を請求する。 変動証拠金、すなわち清算会員業者間での毎日の損益の決済もまた、清算機関を通して行 われる。各取引日の終了時に、各取引所の建値委員会(または他の取引所会員委員会)が各 21
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