Futures&Options

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- 第1章 先物・オプション市場
先物市場は、現存する中で最も効率的に価格を発見できる市場と言える。その先物価格は、 さまざまな産業で利用できる唯一の参照価格となっている。これらの産業等では、市場参加 者が特定時点の先物価格を現物市場で取引価格と結びつけたり、あるいは、先物の期近価格 を現物市場価格の手がかりとしていることが多い。 あまり知られていないことだが、先物取引がもたらす他の便益は、価格情報のほかに統計 情報の配信を円滑化するという点がある。整備された先物取引所は需給統計や気象情報、そ の他の情報など関係する産業にとっても情報配信の中心となっている。これは結果的に、関 係者全員にとってリスク評価や将来の計画策定をしやすくしている。
投機取引(スペキュレーション)
先物市場は、ヘッジャーからスペキュレーターへ価格リスクを秩序ある形で移転するもの である。スペキュレーターは、大きな利益を得ようとしてこのリスクを進んで受け入れる。 スペキュレーターは、一般的に取引する先物契約の原資産となる商品自体を実際に使うこと はない。 先物市場はスペキュレーターがいなければ効果的に機能しない。なぜなら、スペキュレー ターの取引が流動性を供給し、最小限の価格変動で大量注文を執行できるようにしているか らである。長期的に見ればスペキュレーターはリスクテイクする資本を市場に投入すること で、価格変動を激しくするよりむしろ円滑化している。
考えてみよう
需要の変化と技術革新により、さまざまな工業品や農産物の重要性が変化し、金融市場で も新商品が現れた。今後も原料や農産物の重要性が増したり、世界貿易パターンの変化に よって特定の通貨が注目を集めるようになったり、新しい有価証券や信用供与手段が現れた りすることだろう。あなたは、どのような先物契約が将来開発されると予測するだろうか。 そして、その予測を実現させるためには、どのような状況が変わらなければならないだろう か。
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