Futures&Options

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- 貯蔵可能な商品の先物価格は、しばしば、先物契約の消滅時限までの保険、金利などの商 品貯蔵コストの全部または一部を反映している。この場合、在庫商品の保有者は、現物商品 のポジション保有コストの全部または一部をカバーするために、先物の売建てのポジション を保有し、売りヘッジを行う。代わりに、将来当該商品を必要とする消費者は、現物在庫を 抱えるよりも先物の買建てを行うことで、買建て価格以上の支払いが発生しない、もしくは 将来価格が上昇した場合、その時点での時価で購入するよりも支払いが少なくなることを期 待する。
裁定取引(アービトラージ)
裁定取引(アービトラージ)とは、すなわち同一の原資産である商品、通貨または証券を 異なる市場で同時期に買いと売りを行うことであり、先物市場で主要な役割を果たしている。 先物と現物価格が一時的に整合しなくなる場合には、プロのトレーダーなどが(相対的に) 安値である市場に買いを入れ、同時に(相対的に)高値である市場で売りを建て、リスクを 被ることなく利得を得ようとする。この種の行為は先物価格と現物価格が適切な関係にある ことを保証するものである。したがって、現物か先物か、いずれかの価格が公正な市場価格 から逸脱しても、裁定取引によって、短期間で価格が是正される。したがって、裁定取引は、 このように、先物が現物ポジションの効果的なヘッジとなることを保証するものである。
建玉の形成(ポジションテイキング)
建玉(ポジション)の形成とは、現物市場で反対のポジションをもたずに先物だけのポジ ションをもつことである。売却前の在庫保有が投機とみなされるのと同様に、ポジション形 成は投機の1形態と考えることができる。しかしながら、多くの会社は予想されるリスクを ヘッジする手段としてポジションを形成している。たとえば、将来に起債を行う予定の会社 は現行利子率で固定化しようとし、その会社が将来債券の発行をする際に内在する金利リス クをヘッジしようとする。また、国際貿易商社ならば数カ月後の外貨建て収入の為替変動リ スクをヘッジしようと考えることもあるだろう。したがって、ポジション形成がすべて投機 的とはいえない。いくつかのヘッジは、 「将来のため」として分類され、市場における買建 て側にも売建て側にも発生する。
価格発見(プライス・ディスカバリー)
先物市場は、商品の公知の単一価格を設定するのに一役買っている。大半の商品価格は速 い速度で変化するが、公開された競争市場での買い手と売り手の世界規模での相互作用は、 いかなる瞬間でも、ある商品の「価値」を素早く決める。価格は電子的に短時間で伝達され るので、商品の実勢価格に関しては、市場で最も小規模な参加者であっても、大規模参加者 に比べて情報面での不利はない。 14
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