Futures&Options

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- 第1章 先物・オプション市場
先物市場の必須条件
長年にわたり、先物契約は小麦や電気から通貨、保険、持分証券やその指標といった金融 商品に至るまで、さまざまな基礎商品、つまり原材料で始められてきた。そして毎年、取引 所は互いに競争しながら、多数の新しい先物契約やオプション取引を上場しようと試みてい る。そのうちのいくつかは成功するが、失敗するものもある。 「なぜ、先物取引は成功する ものと成功しないものがあるのか」という疑問が自然に起こる。 先物契約が成功するために最も必要なことは、生産者および需要家が管理しなければなら ない現実の経済的リスクが存在することである。原資産の価格変動性(ボラティリティ)が ほとんどあるいはまったくない場合には、取引をしたりリスクを管理したりするインセン ティブがほとんどない。また、価格変動性(ボラティリティ)とこれに伴うリスクが存在し ていても、先物取引が成功するためには、資産保有者において、リスク管理のために先物市 場を活用しようという意欲がなければならない。 さらに、先物契約は孤立した状態では存在することはできない。つまり、活発な現物市場 に基づかなければならない。株式市場であれ、家畜農場であれ、ガスパイプラインや大型穀 物倉庫であれ、現物市場が一人立ちできるものであれば、先物市場価格と現物市場価格の間 では需給環境を反映した関係が維持される。しかも現物市場における情報は利害関係者に とって広く活用可能なものでなければならない。つまり、価格データや需給関係情報が広く 活用できなければ、投資家なども取引をするとは考えにくく、その市場は失敗する。 関連する問題として、政府の施策がある。価格、生産、販売などについて、政府のきちん とした管理が行われているならば、先物取引は役に立たない。第2次世界大戦中、合衆国価 格統制局が、供給が不足していたほとんどの商品について上限価格を定めたときには、多く の先物市場は機能を停止した。なぜならば、政府が売買価格を定めるとヘッジは不要となり、 先物市場も必要がなくなるからである。 さらに考えなければならないことは、原資産に対してリスクを受ける階層が多様でなけれ ばならないことである。価格リスクを受ける商品の生産と消費の両方、あるいはどちらか一 方が、競争的な市場条件のもとで多数の参加者に広く担われていなければならない。これに よって、個人あるいは小規模グループが連携して原資産に対する需給操作ができなくなるか らである。 また、原資産が標準化されていることも重要である。つまり、少なくとも1種類の等級ま 11
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