Futures&Options

- ページ: 157
- 第9章 通貨先物・オプション
オプション購入により、そのプレミアム分の負担を避けることはできないことに留意する必 要がある。
ディスカウント通貨の先物買建ヘッジ
同じ会社が英国から1月1日に財を購入し、6月央に支払いを約束したと、再度仮定する。 購入時においては、英ポンドのスポット相場は 1.8000 米ドルであったとする。6月におけ る英ポンド相場の上昇の可能性から、この会社は6月限英ポンド先物を 1.7600 米ドルで買 い建て、ヘッジを開始する。6月央までに、スポット相場で英ポンドは 1.8500 米ドルまで 上がる。6月限先物契約は満了時にスポット価格に収束するから、スポット相場に対する先 物価格のディスカウントは解消される。この会社は先物の買い建玉を 1.8500 米ドルで決済 し、先物建て玉から9米セントの利益を得る。一方、契約履行のためにスポット相場で英ポ ンドを 1.8500 米ドル調達する。この会社は、1月から6月までのスポット相場での調達コ スト5米セントを4米セント上回る9米セントの利益を先物ヘッジにより受ける。計算は次 のようになる。 1月 6月 先物の利得 スポット ドル/英ポンド 1.8000 ドル 1.8500 ドル 6月限先物 ドル/英ポンド 1.7600 ドル(買建) 1.8500 ドル(決済・手仕舞い) 0.0900 ドル
6月における英ポンドの実際のコスト:1.8500 ドル- 0.0900 ドル= 1.7600 ドル ここにおいても、ヘッジの効果は、ヘッジ開始時点での直先相場が先物プレミアムとなっ ているか、先物ディスカウントとなっていようが、先物価格で固定化するものであることに 注意する必要がある。
プレミアム通貨での先物売建ヘッジ
ある米国製造業者がスイスに製品を輸出する場合を考える。この会社は製品を1月1日に 出荷するが、支払いは(スイスフラン建てで)6月央まで行われない。合意時のスイスフラ ンのスポット相場は 0.5000 米ドルであり、6月限先物は 0.5200 米ドルであった。6月に スイスフランが減価し、米ドル建ての手取りが減少することを懸念して、この会社は6月限 スイスフラン先物を 0.5200 米ドルで売り建てることとした。6月央までにスイスフランは 0.4600 米ドルまで下がり、6月限先物の清算価格はこれと同じ価格となった。この会社は スポット相場により売上代金を受領するが、それは1月のスポット相場に比して4米セント 157
- ▲TOP