Futures&Options

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- 第8章 金利先物・オプション
1980 年代に、金利の変動性がきわめて大きくなったので、変更が可能な短期レートでの 貸出は、より伝統的な長期・固定金利貸出に対抗する競争力を持つようになった。短期の変 動金利型住宅ローンの主な特徴は、金利が不利な方向に変化した場合に借り手が損失を被る リスクを負担することである。当初の金利負担は小さいが、借り手は、金利の再設定日にか なり高い金利を負担する可能性に直面する。高い流動性がある低費用の金利先物市場によっ て、借り手と貸し手の両方が、固定金利商品と変動金利商品の双方に伴うリスクを慎重に管 理するためにヘッジを行うことができる。 現物債券ディーラーは、長期および短期国債証券の膨大な在庫を保有している。ディー ラーはこの債券保有のリスクに加えて、日々の業務執行から生じるリスクを管理するために、 金利先物や金利先物オプションを利用する。金利リスク管理を除いて、企業では一時的なポ ジションを取得、処分または成立させるために、先物とオプションを利用する。こうするこ とで、ディーラーが現物市場ですべての取引を行わなければならなかった場合に負担するよ うな取引費用を減少させることができる。機関投資家の資金運用者(年金基金運用者を含 む)は、銀行やディーラーのリスク負担と同じように金利変動リスクを負担し、同様の方法 で先物とオプション市場を利用する。 企業財務部門は金利先物市場の成長に参加し、また、革新的なプロダクトの開発を先導し てきた。革新的なプロダクトの最も顕著なものがスワップであり、スワップはリスク管理の 手段として先物を利用する。上記でみた利用者に加え、建設業者や金融および保険会社、投 資信託、住宅ローン銀行など多くの者が金利に対するリスク負担を管理するために金利先物 を利用する。以下に、金利先物 ・ オプションを使ったヘッジのいくつかの例を挙げる。
買建てヘッジ、金利低下を予想
買建て長期国債ヘッジの以下の例は、他の市場での買建てヘッジに似ている。4月1日、 投資資金運用者は、3カ月以内に(すなわち7月1日に)100 万ドルを受け取ると予想し、 運用者はこの資金を使って長期米国債を買い付ける計画である。運用者は、金利がピークま たはそれに近いと信じているので、現在の金利で固定したいと思う。結果として、運用者は、 4月1日に、9月限長期米国債先物契約を 10 枚、88-10 で買い付ける。 7月2日までに金利は下がり、運用者は現物債を 102-13 で買い付け、先物を 100-07 で 売り付けて買建てヘッジを手仕舞う。運用者は額面 1000 万ドルの債券について 102 万 4,062.5 ドルを支払うが、先物市場で次のように 11 万 9,062.5 ドルを得ているので、実質 コストは 90 万 5,000 ドルである。
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