Futures&Options

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- 第 7 章 先物・オプションを使ったヘッジ
コールを売り付けて受け取るプレミアムは 10 ドルだった。つまり、これは、オプショ ン・ヘッジが在庫の損失 25 ドルに対してもたらした額である。したがって、このヘッジは、 「現物-先物」のベーシスが変化しないと仮定したとしても、先物ヘッジと同じ程度の保護 を提供しなかった。さらに、金がもっと大きく、たとえば1オンス当り 70 ドル下落してい たとしても、売建てコール・ヘッジは受け取ったプレミアム 10 ドルだけが利益となっただ ろう。これは全くヘッジされなかったに等しい(オプションの損益分岐の概念については、 第6章で説明した) 。 金の価格がこのヘッジ期間中に増えた場合はどうなるだろうか。同じ売建てコール・ヘッ ジが他の起こりうる結果がないか、以下の価格で検討しよう。 オプションの満了日 現物 $306.00 12 月限先物 $315.00 12 月限 285 コール $30.00
この例において、現物金と先物はともに、5月1日から価格が 30 ドル上昇した。これが 先物の売建てヘッジであったとすれば、金の在庫の価値に関する総利益は、ベーシスに変化 がないと仮定すれば、売建て先物ポジションに関する損失によって打ち消され、なくなって しまったはずである。ただし、売建てコール・ポジションは、ヘッジャーが在庫で保有する 金の価値の上昇で 30 ドルの利益はあるが、オプションの純損失 20 ドルとで正味の利益は 10 ドルとなる。この利益は、ヘッジャーがコール売付けに対して受け取ったプレミアムの 価格である。この例では、金の価格がどれだけ上昇するかは問題ではなく、ヘッジャーが有 利な金の価格変化から得られる最大の利益は、現物とオプション価格の間のネット 10 ドル、 すなわち、オプション売付け時の受け取りプレミアムである。 わかりやすくするために、上述の例では、プット買付けまたはコール売付けによって在庫、 すなわち買建て現物ポジションをヘッジする取引を取り上げた。コール買付けまたはプット 売付けによって売建て現物ポジションをヘッジ取引する分析する場合も同様だ。 これらの概念は、図表7. 8および図表7. 9に要約される。そこでは、現物と先物価格間 に完全な連動があり、すべてのヘッジがオプションの満了まで保有されると仮定される。
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