Futures&Options

- ページ: 132
- 例は、この点を説明するのに役立つ。ポートフォリオが S&P500 指数の複製ではないが、 おそらく、ヘッジ対象のポートフォリオは、ヘッジを実現可能にするために広い範囲の株式 銘柄から構成され、この指数と十分密接に関連する。このポートフォリオ・マネージャーは、 原資産である S&P500 指数を有するポートフォリオとの相関性、ポートフォリオの「ベー タ」と呼ばれる測度を計算するだろう。1.05 のベータは、平均すると、そのポートフォリ オが原資産である指数の動きを 105%動かすことを意味する。ポートフォリオ運用者は、 ポートフォリオのドル価値に等しい先物を使ってヘッジせず、ポートフォリオのボラティリ ティをヘッジするためにベータを使用する。この場合、ポートフォリオ運用者は、ポート フォリオのドル価値の 105%の1ドルの価値で先物を売り付ける。 これは、 「同一の」部分が加重、評価または価値の関数ではなく、むしろボラティリティ の機能、すなわち価値の変化の関数であるという例である。これは、クロス・ヘッジの特性 から生じたものである。つまり、ヘッジ対象のコモディティ(ポートフォリオ)は、先物契 約の原資産であるコモディティ(S&P500 指数)に関連するが、同じではないということで ある。
先物オプションを使ったヘッジ取引
ヘッジ取引のために先物オプションを使用することをより詳しく見るには、ここがちょう どいいタイミングである。すでに取り扱ってきたヘッジ取引の概念は、オプションの基礎と 同様にここでも当てはまる。ヘッジャーは、現物市場でのリスクとは「同一かつ反対」の立 場のオプション・ポジションをとることがある。たとえば、現物市場の在庫の価値に関する 損失は、オプション・ポジションの利益によってバランスが保たれている。 ヘッジはオプションの買付けまたは売付けによって確立することができる。すなわち、 プットの買付けおよびコールの売付けが市場動向の偏りを共有し、それぞれが在庫や他の買 建ての現物ポジションをヘッジするために使用できる。同様に、コールの買建ておよびプッ トの売建ての両方が、売建ての現物ポジションをヘッジするために使用できる。ただし、オ プションの売付けと比較して、オプションの買付けを行う時、そして先物と比較する時は、 達成されるヘッジの保護効果には重要な違いがある。以下の説明では、これらの違いのいく つかに注目する。 オプションの性質とコールとプットの権利と義務の相違により、オプションを使ってヘッ ジする場合には「売りヘッジ」および「買いヘッジ」という表現は当てはまらない。また、 これに関連して、ベーシスと価格相関関係の考え方はさらなる段階に拡張されなければなら 132
- ▲TOP