Futures&Options

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- 第 7 章 先物・オプションを使ったヘッジ
現物商品と密接に相関している先物契約を見つけることである。相関関係は統計的関係にお いて、先物契約の原資産であるコモディティとヘッジされる現物コモディティの関連性が適 切に評価されるよう配慮がされなければならない。特に、価格関係は時間とともに変化する 可能性があるため、そのような評価をする際多くの複雑な事態が起こることがある。 クロス・ヘッジ取引が可能な場合は多い。よく使われる例として、ジェット燃料エクス ポージャーをヘッジするために灯油先物を利用する場合や、社債の保有や発行に関連するリ スクをヘッジするため国債先物を利用する場合である。クロス・ヘッジは、ジェット燃料あ るいは社債の先物が不足する場合に必要とされる。 たとえ、より流動性のある契約が原資産である現物エクスポージャーを厳密には表さない 可能性があるとしても、クロス・ヘッジ取引を行う別の理由は、流動性のある先物契約をよ り流動性のない契約の代用とすることである。たとえば、特定の株式ポートフォリオにより 密接に適合する別の株価指数商品があるとしても、S&P500 株価指数先物契約でヘッジする ことがある。S&P500 契約が提供する流動性は、流動性が少ない契約の比較的高い価格相関 関係を上回る価値があるかもしれないからである。 ヘッジャーは加工品に対するエクスポージャーを保有しているが、先物は未加工のコモ ディティにしか存在しない場合にもクロス・ヘッジ取引が利用される。たとえば、パン製造 業者は小麦粉の価格変化に対するエクスポージャーを保有しているが、小麦粉の先物契約が 存在しない場合がありうる。結果的に、パン製造者業は小麦粉の価格が小麦粉の価格以外の 要素を含むことを知って(こうしてベーシス・リスクを認識して) 、小麦先物を使ってヘッ ジすることを選ぶかもしれない。 クロス・ヘッジ取引においては、どのようなヘッジもそうであるように、 「現物-先物」 のベーシスおよびベーシスの変化を監視する必要がある。ただし、このような場合にはベー シスに対する別の側面がある。具体的には、ヘッジされる現物商品またはコモディティと先 物契約の基礎となる現物との関連性もまた追跡されなければならない。その意味では、場所、 時期、等級などが先物契約とは異なる受渡しに基づくヘッジについても、クロス・ヘッジで あると考えられる。 クロス・ヘッジ取引の主題は、前に説明した「現物および先物における等しくかつ反対の ポジション」という考え方を再検討するのにちょうどよいタイミングである。この原理にあ る「 反 対 の 」 部 分 は 常 に 有 効 だ が、 「 同 一 の 」 部 分 に は い く ら か 詳 述 が 必 要 で あ る。 S&P500 先物を利用する株式ポートフォリオをヘッジするポートフォリオ・マネージャーの 131
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