Futures&Options

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- 第 7 章 先物・オプションを使ったヘッジ
正常な、キャリーまたは順鞘の市場
正常な市場またはキャリー市場(別名、順鞘市場)とは、連続する先物が期先ほど高く なっている市場のことを言う。つまり、契約満了または受渡しまでの時間が長ければ長いほ ど先物価格はより高くなる。先物限月の価格間の差異、あるいはスプレッドは、需要と供給 状況ならびに持越費用の影響を反映する。後者の持越費用には、一般的に、保管や保険、資 金調達コストが含まれる。持越費用の3要素は、仮にあったとしても、明らかに、市場が異 なれば影響が異なる。たとえば、金属の現物の保管は、これらの3つの費用が全て発生する。 債務商品の持越しでは、純金利費用(債務商品は金利を受け取る一方、その商品の買付けの ための資金調達には金利の支払いが必要であるため、正味となる)だけが生じる。正常な市 場またはキャリー市場の先物価格 を図で示すと、 図表7. 4 のよう になる。
図表7. 4 順鞘市場における連続する限月の価格
逆鞘市場
スポットまたは期近限月の価格 が最も高く、各連続する限月がそ の前の限月よりも低い価格である ことがある。これは、逆鞘市場あ るいは逆鞘と呼ばれ、 図表7. 5 に示される。穀物や石油、工業用 金属のような現物財の先物市場で は、繰延契約にかかるプレミアム に期近のビッドの供給を必要とす るものの、現在のコモディティが 不足し、その供給が当面できない 人々がいるときは、逆鞘市場が生 じる。米国国債または通貨のよう な金融商品の先物市場においては、 逆鞘または順鞘は、現物商品に関 して受け取る金利(たとえば、長 期または外国金利でありうる)と、 その商品を保有する金利支出(通 常、短期金利である)との関連性 により生じる。たとえば、米国債 125
9月 6.00 12 月 6.05 1月 6.10 3月 6.15 5月 6.20
7月 6.30
図表7. 5 逆鞘市場における連続する限月の価格
9月 6.60
12 月 6.45
1月 6.40 3月 6.35 5月 6.30
7月 6.25
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