Futures&Options

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- 第1章 先物・オプション市場
品質の標準化
さまざまな地域で栽培・生産される商品は、単位当りの重量やその他の重要な特性によっ て広く等級が変わるため、現物を見ないで行う取引を思いとどまらせる。しかし、19 世紀 中葉を通じて、CBOT が穀物の等級や検量・測量についての基準を導入したことによって、 今日の先物取引の中心部分をなす受渡可能等級として標準化に発展した。後述するように、 農産物を背景に発展した標準化の原則は、エネルギー製品や金融商品を含め、現代の先物契 約の原資産品目にも幅広く採り入れられた。
支払条件の変化
支払条件が多岐にわたることから、商品取引所はすべての支払条件を代金引換払いとした。 さらに、先物取引所でのすべての取引は、取引所の定めた財務基準に合致する取引所会員に より決済、つまり記帳されなければならない。
価格伝播
価格情報の集中する場所がなかったため、取引者は、自分たちが最良のオファー価格や最 良のビッド価格で売買をしているのかどうかに確信がもてなかった。そのうえ、未着品取引 は私的な契約であるため、他の同種の取引情報を実勢価格として参考になるとは限らなかっ た。そこで商品取引所は、正確で迅速な価格配信の必要性から、次の2つの方法で対処した。 1つ目は、立会取引であろうと電子取引であろうと、すべての取引を同一の場所で行わせる ことである。そこでは、買い手・売り手の間で競争的なビッドとオファーが伝達される。2 つ目は、約定された全取引情報を、迅速にかつ広範囲に公表させることだった。
転売の問題
スペキュレーターのほとんどは、先物契約の売買に際して、現物の受渡しに関心がない。 同様に、価格の逆行に対し先物の売買を行うことで損失を防ごうとするヘッジ目的行為者 (ヘッジャー)も、商品や金融商品の定められた等級、品質について、常に関心をもってい るということはない。つまり、ほとんどのヘッジャーの目的はリスク移転であって、原資産 の受渡しではない。したがって、すべての取引参加者にとって先物取引ができる限り容易に 売買できなければならない。 その方法の1つが反対売買を認めること、つまり、既存の買建玉を決済するための転売や、 売建玉の買戻しを認めることである。清算機関(クリアリングハウス)の発達によって、買 い手(ロング・ポジションの所有者)は、買建て時の相手方(売り手)に限らず、先物市場 におけるどの買い手に対しても転売できるようになり、建玉決済することもできるように 3
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