Futures&Options

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- できるようになっている。また、これと同時に、先物市場では投機家(スペキュレーター。 以下、 「スペキュレーター」という。 )も投資家も価格発見過程に参入できるようになり、市 場全体をより効率的にしている。 近代の先物市場は、農業を主体とした経済のリスクマネジメントの必要性から発展してき たものである。その仕組みは、きわめて効果的かつ柔軟であり、銅等の工業原料や、石油、 天然ガス、電力に至るまで発展し、変貌する経済に対してもすぐに順応できることを証明し た。ここ数十年の間に、この先物取引モデルは金融の原材料である金利、外国為替、株式価 値などにも応用されてきた。 本書では、先物市場と先物オプション市場における基本的な知識(市場とは何か、どうい う仕組みなのか、誰が利用するのか、その動機は何か)について、総合的に紹介する。
先物市場の発展
商品の価格変動リスクに対する最初の試みは「未着品取引契約」であった。これは、売買 当事者間において相対で、商品到着時に完了する売買条件をあらかじめ取り決めるものであ る。到着渡しベースの売買契約は、すでに 1780 年代にはリバプールの綿花取引で行われて いた。 米国においては、商品の売り手、買い手が路上で取引しあうことから始まったが、取引量 が増大するにつれて、永続的な中央市場が必要になってきた。1848 年には、シカゴ商品取 引所(CBOT:Chicago Board of Trade.以下、 「CBOT」という。 )が米国史上初の組織化さ れた商品取引市場となった。未着品取引契約は重要なイノベーションであったが、先物取引 が商品の売買面でも、ヘッジ面でも取引面でも有効な手段となるにはいくつかの取引実務の 追加的な変更が必要であった。
適切さを欠く(商品の)保管
売り手と買い手の関係は、ビジネス上の信頼関係で成り立つ。すなわち、買い手は売り手 の約定商品の引渡しを信頼し、売り手は買い手の支払いを信頼しなければならない。倉庫容 量の増大は、未決済契約に見合う十分な供給があることを保証することになった。商品の倉 庫保管の取扱い上の毀損や不正といった他の問題については、品質管理システムの組織体制 の発展が不可欠となった。今日では、保管商品の適正な取扱いに関する法規制に加えて、取 引所は引渡しができる保管倉庫に対する免許制度や検査体制を整備している。
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