Futures&Options

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- 第 7 章 先物・オプションを使ったヘッジ
現物および先物における等しくかつ反対のポジション
ヘッジャーのニーズを調べるための代替手段は、ヘッジャーが「現物および先物において 等しくかつ反対のポジション」をとることを覚えておく。このアプローチは、ヘッジャーが 現物市場で有しているエクスポージャーに対応するリスクをとるという、先物利用の考え方 を重視している。 注) 「代用取引として先物を使う」アプローチも「等しくかつ反対の取引を行う」アプ ローチも、どちらもヘッジャーのリスクや関連するリスク管理行動を分析するための 手引きとなる。そのような分析を行う場合、どちらのアプローチを使っても同じ結論 に到達する。ただし、もっと複雑なシナリオが発生すれば、一方のアプローチは、結 果が全く同じでも、特定の状況を分析する際は、他方より役に立つこともある。 たとえば、広い範囲の株式ポートフォリオを担当するポートフォリオマネージャーが、近 く公表される経済報告やそれが株式市場に悪影響を与える可能性について懸念する場合、 ポートフォリオの価格リスクをヘッジすることを考えるかもしれない。明らかに、このヘッ ジャーは現物を買い建てている。つまり、この場合、現物コモディティは株式である。先物 で反対ポジションをとるためには、ポートフォリオのドル価値におおむね相当するドル価値 の先物、たとえば S&P500 先物の売建てポジションを必要とする(現物ポートフォリオの 価格が S&P500 指数の価格と強い相関関係にあることを想定している) 。もちろん、ヘッ ジャーは株式を売却したり受渡しを行うつもりは全くなかったが、現物と先物のポジション である以上は、株式市場の変化との感応度において互いに相殺される。
先物を使ったヘッジの例
売りヘッジ
先物において売建てのポジションをとるヘッジャーは、 「売建てヘッジ」または「売り ヘッジ」をすると言われる。先物市場において取引されるコモディティのディーラーである 女性実業家について考えると、彼女はコモディティを顧客に供給するために、先物の買付け もしくは売付けを行い、現物の買付けの注文を出し、そして顧客から注文を受け付ける。し かし、最も重要なのは、彼女が在庫を所有するということである。これらの行為のすべてに おいて、彼女の業務と彼女の利益の両方が価格の変化に影響を及ぼす。彼女は、すべての買 付けが同時に売付けと合致するように、彼女の全取引を仕組む方法を見つけることができる ならば、基本的に在庫エクスポージャーを持たずに、変化する市場価格に与えうる悪影響を 119
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