Futures&Options

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- 調しておかなければならない。特に、ヘッジャーは、運送、貯蔵および資金調達などの現物 に関する事業の関連コストに加えて、自らが取引する場所のコモディティの等級に関する現 物市場についても熟知していなければならない。
後で行う現物取引の一時的代用としての先物ポジション
ヘッジャーのリスクと、そのリスクのバランスをとるために使用される先物ポジションを 検討する際は、ヘッジを「後で行う現物市場取引の代用である、今行う先物取引」 、と考え ることは役に立つ。この概念は、ヘッジャーが先物に対して受渡しを行ったり、引渡しを受 けたりする意図がない場合でも、ヘッジャーがリスク管理の目標を達成するために、とらな ければならない先物ポジションへの手がかりとなる。 綿花を生産することで、現物の農産物を必然的に買い建てることになる農場経営者を例に とろう(ビジネスの通常の過程で、自然に現物市場において買建てポジションとなる場合は いつでも、必然的に買建てとなると言う。他のヘッジャー、たとえば、将来必要になるコモ ディティを欠いているヘッジャーは、必然的に売建てとなると言う) 。最終的に、この農場 経営者は地元の現物市場で自分の綿花を売る。しかし、綿花をまだ収穫していない(あるい は植え付けてさえいない)ことなどいくつかの理由で、農場経営者は、 「今は売らない」こ とを選択するかもしれない。そして、後で現物市場において売却する一時的な代用として、 農場経営者は今先物を売り付けることもできる。つまり、このヘッジは、ヘッジが行われる 後の価格に何が生じるかにかかわらず、農場経営者がその農産物の売付価格を固定させたこ とを意味する。 収穫期が到来すると、この農業経営者はその綿花をその地で売り付け、先物の建玉を手仕 舞おうとする。つまり、農業経営者は受渡しをする意図を持たず、先物を価格設定装置にす ぎないものとして利用し、先物を売り付けていた。農業経営者はその地の現物市場で実際の 売却を行うときに、先物の建玉を手仕舞うはずである。なぜならば、その時点では、農業経 営者は先物の売建てをもはや「一時的代用として」必要としないからである。 綿加工業者は農業経営者とは反対の立場にある。彼らは数カ月先に原材料、すなわち綿花 を必要とする。したがって、綿加工業者は、後で現物市場で取引する買付けの一時的代用と して、綿花の先物を今買い付ける。このヘッジャー、あるいはトレーダーなら誰でも、契約 に対して先物契約(差金決済契約でない場合)の最終取引日が到来するときに、綿花の受渡 しを受けるかどうかは自由であるが、通常は、その時ヘッジャーが現物市場で買い付け、同 時に先物の建玉を手仕舞う方がより効率的である。
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