Futures&Options

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- 第 7 章 先物・オプションを使ったヘッジ
先物・オプションのポジションは、ネットのリスク管理を唯一の目的とする。対照的に、ス ペキュレーターの先物・オプションのポジションは、利益を追求してネットのリスクテイキ ングを行うことを意味する。 ヘッジ取引とそれに伴うベーシスなどの価格決定の考え方は、先物の最も重要でかつ最も 理解しにくい部分である。ただし、これらのトピックスの一般的な理解のためには、ヘッ ジャーのリスクとそのリスクを均衡に保つか、または減少させる先物やオプションのポジ ションを特定するという比較的単純な作業から始まる。
基本概念
現物と先物の価格相関関係
一般的に、先物・オプション市場は、価格リスクを管理するために利用されるものであり、 実際の現物コモディティや他の原資産の取得や処分の手段として利用されるものではない。 なぜなら先物・オプションは、通常、所有権を実際に移転するための最も効率的な伝達手段 ではないからである。ヘッジャーでさえ、次のいくつかの理由で先物に対して受渡しを行う ことはめったにない。 ◦その先物受渡等級は、ヘッジャーが必要とするものまたは生産するものと同じでないこ とがある ◦その先物受渡場所は、ヘッジャーにとって不便な場所または適さない場所にある ◦その先物受渡日が、ヘッジャーのコモディティの引渡し時期またはその受取り時期と一 致しないことがある ただし、先物契約に定める商品の先物市場と現物市場の間の価格変動には通常、非常に高 い相関関係があるので、先物または関連するオプションによるヘッジは、たとえヘッジャー に引き渡したり、引渡しを受ける意図がないとしても、現物市場のエクスポージャーのバラ ンスをとるにはきわめて効果的である。実際、先物・オプションによってヘッジすることは、 現物と先物の間に価格相関関係があるから正確にできる。相関度が高ければ高いほど、ヘッ ジはより完成度が高くなる。この章の後のセクションでは、ベーシスとして知られる現物と 先物価格の間の関連性について説明する。 この章で参照する現物市場は一般的な市場である。ただし、ヘッジを評価する目的で、 ヘッジャーがその取引を行っている特定の現物市場を利用することが重要であることは、強 117
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