#2 取引スキーム

FX取引の注文方法や決済の仕組みなど取引スキームについて

FXを知るうえで注文方法や決済の仕組み等を把握することは重要です。
ここでは、FXの取引スキームについて解説します。

FX取引の注文方法(種類別)

1.成行注文
成行注文とは、値段を指定せずに、その時のレートで注文する方法です。
すぐに注文を行えて、売買が成立しやすいという特徴がありますが、注文から実際に約定するまでの間にレートが変動し、スリッページ(*)が発生する場合があります。

所謂ストリーミング注文(FX業者によって呼び方は異なります。)とは、顧客が画面で見ている価格を発注価格として、その発注価格又はその発注価格から一定の範囲内のレートで約定させる注文です。そのため、注文から実際に約定するまでの間にレートが変動した場合でも、予期していないレートや不利なレートでの約定を抑えることが可能となります。

【成行注文の図】

(*)スリッページとは、顧客が注文時に指定したレートと実際に約定するレートとの相違のこと。顧客の注文時に画面で表示されていた価格と約定価格が相違することを、「スベる」「スリップする」などと言うことがあります。顧客が自分のPC等から発注すると、通信回線を通じて注文が業者に届くまでには一定の時間がかかるため、発注時の価格と受注時の価格が異なることは起こり得る現象と考えられています。
スリッページは、通常なら「顧客有利方向」と「顧客不利方向」の両方向に偏りなく発生すると想定されますが、例えば、FX業者が受注した時点で、注文価格と受注時の価格とを比較し、業者有利な場合には約定させる一方、業者不利の場合には約定させないなど、顧客に不利な取り扱いを行うことは、協会規則により禁止されています。

2.指値注文
指値注文は、自分が売買したいレートをあらかじめ指定する注文方法です。
買い注文なら現在価格より安い価格、売り注文なら現在価格より高い価格を指定し、指定した価格になると約定されます。
自分の指定した価格で約定できる反面、指定した価格にならないと約定が行われないため、売買が成立しにくいという特徴があります。

3.逆指値注文
逆指値注文は、指値注文とは逆に、現在よりも不利なレートを指定する注文方法です。
買い注文なら現在価格より高い価格を、売り注文なら現在価格より安い価格を指定します。
例えば、ポジションを持っている場合に、損失をあらかじめ限定したり、或いは一定の利益を確保するために、この注文方法を使います。

4.IFD注文
IFD注文は「イフダン(if done)注文」と読み、新規注文と決済注文を同時に出す注文方法です。
例えば、ドル円の現在価格が1ドル100円で今後105円になったら買い(逆指値)、110円になったら売る(指値)ということを予め設定して注文ができます。
相場を常に見続けられない場合には有効な注文方法です。

5.OCO注文
OCO注文は「One Cancel the Other」の頭文字をとったもので、1度に2つの注文を出すことができる注文方法です。
例えば、ドル円の現在価格が1ドル100円で買いポジションを持ったとき、110円で利益確定(指値で売却)、90円で損切り(逆指値で売却)という注文を出せます。片方が約定されたら、もう1つは自動的にキャンセルされます。

6.IFO注文
IFO(IFDOCO)注文は、IFD注文とOCO注文を合わせた注文方法です。
ポジションを持つまでがIFD注文、ポジションを持ってから決済までがOCO注文と同じ注文の仕方をします。

FX取引の決済の仕組み

FX取引では、その決済方法も把握しておく必要があるでしょう。

・FX取引のポジション
ポジションとは、取引約定後に反対売買されないまま残っている未決済分をいいます。
FX取引において、通貨を買って決済せずに保有している状態を「買いポジション(ロングポジション)」を持つといい、通貨を売り建てて決済せずに保有している状態を「売りポジション(ショートポジション)」を持つといいます。
また、ポジションを持つことを「ポジションを建てる」、「ポジションメイク」などともいいます。
なお、持っていたポジションを反対売買してなくすことを「スクエア(ノーポジション)」といいます。

・差金決済
差金決済とは、元本に相当する金銭の受け渡しを伴わず、買い付けの対価と売り付けの対価の差額の授受により決済することをいいます。

例えば、ドル円のレートが1ドル=100円のときに1万ドル(1万通貨)を買って、110円になったら反対売買により決済するとします。
その場合、(110-100)×10,000=10万円の受け渡しが行われます。

・反対売買
FX取引において反対売買とは、持っているポジションと反対の売買をすることをいいます。
例えば、買いポジションを持っている場合は売り注文により決済し、売りポジションを持っている場合には買い注文により決済することを反対売買といいます。

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